田瓶市西部沼田地区にそびえる標高1,421メートルの山。都市部からは独立山のように見えるが、見高山とその背後に影のように佇む一回り小さい大仙山との連山である。主山である見高山は隆起した深成岩(花崗岩)と斑レイ岩から成る。
見高山は山頂付近に二つこぶがある形状をしており、望遠からは蛙の頭のような形に見えることから「蛙山」とも呼ばれる。古くは室町時代の歌集にもその記述がみられ、昔から田瓶のシンボルとされてきたことが分かる。赤川源泉であるとともにブナ・モミなどの原生林が生い茂る自然豊かな山であり、鹿や狸、イタチなども生息している。
見高山の中腹から山頂は真殿山神社の境内となっており、植物の伐採、動物の捕獲、火器の使用、ペットの散歩等が禁止されている。滝や祠などもみられるが、神性保護の観点から立ち入りが禁止されている場所もある。また、見高山山頂付近には貝塚などが出土している見才谷遺跡があり、来訪者向けに開放されている区画を除き完全立ち入り禁止区域となっている。
昭和終期にケーブルカーやロープウェイを導入する政策があったものの、費用対効果が見込めなかったために計画がとん挫した経緯がある。そのため、駅建設予定地だった場所にはプラットフォーム部分のコンクリートのみ残されている箇所がある。
大仙山は見高山と異なりほとんど人の手が入っていない未開の山である。昭和終期、大仙山の登頂を目指した登山家たちが相次いで行方不明となる事件が起きたため、田瓶市(当時の田瓶町)は大仙山への入山を規制した。その後入山が申請・許可された記録は残っていない。現在は3合目にある登山口までの範囲は沼田荒神神社分社の社務所が山の管理を行っている。登山道より上は田瓶市に古来より存在するとされる宗教団体が管理している。また、2合目付近では林檎の会が共同生活を営んでいたことで知られる。
山門は沼田地区蛙井にあり、山頂まで4つの登山道があるが、観光用に整備されているのは真殿山神社を経由する真殿山神社コースだけである。他の3コース(鷹橋コース、青雲峰コース、白羽門コース)は険しい山道となっているほか景観も真殿山神社コースに劣るという点で選択する登山者はごくわずかである。
真殿山神社コースは、真殿山神社までは岩場も少なく勾配もなだらかで初心者にも優しいコースとなっている。また、「人馬返し」・「三ツ環くぐり」・「蛸石」など、霊石・奇岩・名木が多数あり、パワースポットとして人気を博している。真殿山神社から山頂までは見才谷遺跡の立ち入り禁止区域を迂回して進むコースとなっているため標高差に比して距離が長いコースとなっている。また山頂付近では垂直に近い登攀が必要となるため難易度が急増する。その意味で初心者向けとも上級者向けとも分類されない見高山を登ろうとする登山家はそれほど多くない。来訪者は7合目の見才谷公園をゴールとすることが多い。
鷹橋コースは真殿山南側を直登するコースであり最短ルートではあるが勾配が始終急となっている。青雲峰コースは鷹橋コースの途中から森林中を進むコースであり途中大仙山を望むスポットがあるが、利用者が少なく道が整備されていない場所がある。白羽門コースは東側の尾根を進むコースであり、岩場が多く勾配も急なことから、秋~冬にかけて閉鎖される。
真殿山神社は田瓶市の沼田町にある、真殿山自体をご神体として祭る神社である。拝殿は見高山の山腹にあり、山全体がご神体と認識されているため本殿は存在しない。創建は不詳。炭素年代測定では室町時代ころから存在していたとされる説が有力である。詳細は真殿山神社を参照。
見高山の山頂付近にある史跡の総称。貝塚としての当時の生活がうかがえ、また、何らかの儀式的意義が推察される環状列石が混在する全国的にみても歴史的価値の高い史跡である。詳細は見才谷遺跡を参照。
津田線沼田駅から沼田循環バスで蛙井バス停まで約35分。青池温泉郷からもシャトルバスが出ている(約15分)。車では国道69号線の山野辺西交差点を真殿山方面に入り、見高元駐車場(約400台)まで。