真殿山神社(まどのさんじんじゃ)
概要
真殿山神社は田瓶市の沼田町にある、真殿山自体をご神体として祭る神社である。拝殿は見高山の山腹にあり、山全体がご神体と認識されているため本殿は存在しない。創建は不詳。炭素年代測定では室町時代ころから存在していたとされる説が有力である。主祭神は以下の3柱。
- 水瓶津彦神(ミナカミツビコノカミ)。田瓶一帯の神であり、人格神は邇邇芸命(ニニギノミコト)とされる
- 真殿淡比古神(マドノウルヒコ)。見高山の神であり、人格神は速秋津比古神(ハヤツアキヒコ)とされる
- 真殿濃比女神(マドノノウヒメ)。大仙山の神であり、人格神は速秋津比売神(ハヤツアキヒメ)とされる
真殿神
真殿神は古事記や日本書紀に登場しない、田瓶市固有の氏神である。例えば八幡神や稲荷神がそうであるように、古事記・日本書紀に登場しない神は意外と存在する。その分、出自や搭乗の時代背景については不詳とされるものが多い。上の3柱を合わせて真殿山と呼ぶ文献がある。田瓶郷土資料館所蔵の太白絵巻物(江戸時代初期執筆、作者不詳)によると、イカやカニのような姿で夢に現れ、病や悩みを消し去るという伝承がある。真殿山神社の境内にも魚や貝が彫られた石像が多くみられ、遠い昔の海退前の記憶が象られている。
特に由緒を含め文献がほとんど残っていない真殿淡比古神・真殿淡比女神については、また瓊瓊杵尊とゆかりが深い猿田彦大神、アメノウズメと同一視する学説もあるが、根拠に乏しく定説とは至っていない。
ご利益としては家内安全、商売繁盛、恋愛成就などさまざまであるが、そのうちに「登山の安全」というものがあり、北関東の登山家、登山愛好家たちがこれを目当てに神社を訪れる。
建築としての真殿山神社
拝殿前に建てられた蛙門は、間口5間、奥行2間8尺の楼門であり、神仏習合時代には金剛力士像が安置されていた。廃仏毀釈により金剛力士像が撤廃され、現在は向かって右手に水龍、向かって左手に暴れ牛の木彫りの像が設置されている。嘉永6年(1853年)に一度消焼失ており、現在の蛙門は明治7年(1874年)に再建されたものである。
楼門をくぐると右手には亀池と呼ばれる小さな池があり、その名の通り100匹以上の亀が飼育されている。池には朱色のアーチ橋(鏡ノ御橋と呼ばれる)が渡されており、夏の大祭の折には神輿がここを通って山門に下っていく(通常、参拝者の渡橋は禁止されている)。亀池の裏手には、田瓶市の他の寺社の例にたがわず多数の道祖神(お地蔵様)が見られる小道がある。
拝殿脇には神蔵と呼ばれる塔堂がある。外見には3階建てだが中は5階建てとなっており五重塔を模して建てられたものだと分かる。その名前と見た目から破却移転を逃れた珍しい建造物であるが、誰が何の目的でそのような偽装をしたのか定かではない。
摂社・末社
真殿山神社には100以上の摂社・末社があるとされるが、その大半が山中にある。拝殿周辺にあるのは以下7つである。
- 八坂神社(建速須佐之男命:スサノオノミコト)
- 綿津見神社(大綿津見神:オオワタツミ)
- 浮雲神社(蛭子命:ヒルコノミコト)
- 春日神社(武甕槌神:タケミカヅチ、経津主神Lフツヌシ)
- 厳島神社(市杵島姫命:イチキシマヒメほか宗像三女)
- 志波彦神社(塩土老翁:シホツチノヲヂ)
- 稲荷神社(稲荷神(宇迦之御魂神:ウカノミタマ))
祭事
- 1月1日 元旦祭
- 1月3日 元始祭
- 2月17日 祈年祭
- 4月第1日曜日 桜祭
- 6月30日 大祓
- 7月第3日曜日 真殿大祭
- 9月下旬 田瓶抜穂祭
- 11月23日 新嘗祭
- 12月31日 大祓式
アクセス
拝観料・時間
開門時間:5:00 - 20:00。入館料は真殿資料館(入館料200円)を除き無料。
交通
津田線 沼田駅から沼田循環バスで真殿神社口まで(約35分)