村田興業
村田興業は北関東を中心に鉄道・運送業を手掛ける企業である。津田線、唐木線、馬頭線といった鉄道運行を手掛けるほか、高速バス、運送業、不動産業、観光業でも事業を行っている。
歴史
明治時代に田瓶市で郵便配達員をしていた村田建造が国鉄王港線敷設事業に個人で参加し、独立したことが操業といわれている。建造はバス事業を軸としつつ、事業が軌道に乗ると私鉄津田線の開業を計画。当時陸の孤島といわれた山野辺や岩倉待望の鉄道が通ることになった。
事業を継いだ2代目社長佐久太郎は津田線開発で培った知見をもとに唐木線を開業。また長距離バスや運送業にも進出した。4代目社長村田万梨阿の時代に事業を拡大、陸運業だけでなく観光業、保育業、インフラ整備などを手掛けるようになった。タクシー会社の甲府交通や道路工事を手掛ける赤城本建設などを立て続けに買収し、北関東における主要企業の一つとなった。
近年ではITデザイン事務所ファルコンのファンアウトや、田瓶市の宇宙ベンチャー SORAとの提携などさらなる広がりを見せている。
鉄道事業
津田線は田瓶駅を始発とし、JR王港線駅ビルのエスカルゴ田瓶本館に乗り入れている。下沢岩倉までの15kmをほぼ南北に結ぶ、同社の主力路線である。一方の唐木線、馬頭線はターミナル駅を持たないが、寺社やレジャー施設を始発駅とする路線であり、行楽シーズンや年末年始には賑わいを見せる。
鉄道車両は3000系と呼ばれる通勤列車が主流。バリアフリー設定がされた亜種の3050系はスタイリッシュなフォルムと珍しさが受け、鉄道愛好家による人気投票で上位に選ばれたこともある。津田線ではかつて観光列車「きんぼし」を運行し、高級料理や有名バイオリニストの演奏を聴きながら鉄道の旅を満喫できると売り出していたが、人気が振るわず現在は廃止されている。
バス事業
山梨、大月、渋川、田瓶、益子などから新宿・日本橋を結ぶ高速バスを毎日運航している。昼に出発する「ツツジカゼ」と夜行バスの「ゆうやけライナー」の2便が運航されている。
田瓶市では市内バスを運行。たがめくるくるバス、山野辺レジャー線、沼田循環などがある。いずれもシニアパスが提供されており、65歳以上であれば無料で利用できる。
その他事業
遊園地
田瓶市のレジャー施設、ドリームランドを運営(廃業)。
不動産業
島田ビルヂング、コア岐間、ソラリスプラザ、ララタウン三浦他多数の物件を保有、運営
建設業
子会社、村田建設。道路工事や水道工事を手掛ける
保育事業
わかばの森保育園を国内3か所に展開
農業支援
農機のリース、外国人や若者の就農支援、農家向け融資を手掛ける
山野辺地区の再開発計画
1970年代に山野辺駅周辺の開発や赤川治水工事など、山野辺地区の近代化を手掛けた。山野辺貯水池の整備や山野辺総合病院の再建がこれに当たる。莫大な資金を投じて社長肝いりで行われたプロジェクトは社員の尽力とリーダーの手腕もあり黒字化して着地。リスクをいとわず地域のために投資する姿は地域企業の鏡といわれた。
村田万梨阿
創業家2代目佐久太郎の娘。1919年生まれ、2019年没。17歳で経営に携わり、88歳まで会長職としてグループの経営に影響を与えた。当初建設業の下請けを行っていた村田興業を指揮し、上下水道、電力網整備など公営事業の受注を開始。その後も保育施設や病院経営などの多角化を実現し、田瓶市にはなくてはならい企業へと成長した。12人の子供は全員がグループの要職に収まっている。