こっそり小ネタ解題遠き山に陽は墜ちて編

だせえことします。

・タイトルは言わずもがな、アントニン・レオポルト・ドヴォルザーク作曲「新世界より」の第二楽章に歌詞をつけたものからの引用。元のタイトルは「太陽の墜落」でしたが、堅すぎるため今回の形に。

・「太陽を目指して飛ぶものは太陽となって墜ちてくる」イカロスとか、パエトーンの神話なんかのイメージ。それと、ツァラトゥストラ。後半のロジーの長台詞中に出てくる「太陽は自分の力や知恵を独り占めしないで、分け与えるために日々下まで降りてくる」という趣旨の一節はまんまツァラトゥストラの冒頭から。これを没落という。

・太陽を象徴するオレンジ髪のロジーの墜落と上昇、RISE & FALL、彼をのせた飛行機は遠き山に日は落ちてが流れるなか、遠き山に墜落する。

・塩谷エミコという名前はエミール・シオランから。睡眠薬漬けで、エクスタシー体験に基づくメランコリーに悩まされる思考の無頼漢。とりとめのない、思考に次ぐ思考の反乱の果てに。ニーチェに憧れ、ニーチェになることを拒否した孤高の哲学プロレスラー。冒頭の独白「それをやめてしまうには歳をとりすぎ、しかしまた積極的に肯定するほどには大人ではないのです」は、David BowieのRock & Roll Suicideの歌詞「too old to lose it, too young to choose it」の僕なりの翻訳。「一番上手にできるのは倒れたままでいること」は、フランツカフカのラヴレターより。星の王子さま的には飛行機乗り。

・タケシは、漢字では剛と書きます。剛生くんの名前とは関係ないです。ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ(英語発音だと、ヴァン・ゴゥと発音→ごう→剛)より。ロジーの肖像画はゴッホ風に描いてもらいました。ゴッホは、精神科医に「全部気のせいなんですよ、疲れてるんです。休みましょう」と言われて、そうですか、と家に帰り、そのまま拳銃自殺しました。星の王子さま的にはうぬぼれ屋。

・ロジーの名前は、むしろカーテンコール曲先行。トートロジーのロジー。そこから、ロジー、ロズ、ロズウェル、と遡りました。綴りはたぶんRosieかRosy。前者のがロジーの発音に近い?後者は意味が「薔薇色の」になってとてもよいのだけれど、発音はどっちかってーとロージー。価値を相対化し存在を存在化する説明不能の歩く循環論法。見た目はDavidBowieと星の王子さま。雨の日に着てたレインコートは星の王子さま配色。あれが一番高い衣装でした。

・マリーはバラの花。いるよねー、こういう女。かなしくてうつくしい。ただのツンデレにならないバランスむずかしい。名前の由来は作中の言及どおり「地球に落ちてきた男」のマリー・ルーから。マリー・ルーは世界中のかっこいいロックスターが皆恋する魔性の女です。リッキーもミシェルもカートもデヴィッドもローリーもベンジーもみんな彼女に恋をした。あと志磨も。

・ツハラさんは星の王子さま的には酔っぱらい。一切出てこないけどしたの名前はイヨといいます。ツハライヨで、ヨツハライ、酔っぱらい。酔っぱらい、星の王子さまで一番好きなキャラクターです。まだ中身のある瓶と、空になった瓶とを交互にみつめながら、酒を飲むのがはずかしい、はずかしいのを忘れるためにまた飲んでしまう。こっちのイヨはもう二十歳こえてるからお酒飲めます。

・ツネキさんはキツネです。僕を飼い慣らしてくれよ。星の王子さまの飼い馴らすという訳語については今いろいろ議論されてるところらしいですね。対象との間に上下関係があるように訳すのはちょっとニュアンスが違うとか。いろいろ見た結果、僕は、「名前をつける」と、してみました。名前をつけるのに理由は要らない。好きだから、とかでいい。ツネキさんの最初のシーンいつみても怖いって言っちゃう。

・モロタさんは地理学者。世界中のいろんなことを知っている、と、思い込んでいる。頭のなかには世界があって、でもそれは本当の世界ではない、それでもいいじゃないか、という。名前は某有名な疲れてる人から。モロタさん、あなた疲れてるんですよって台詞を入れられなかったのちょっと残念です。

・スガイさんは仕事人間。星の数を知っている人。星を数えて仕事机の中にしまう人。名前の由来はモロタさんとセットのあの人。早口で難しいセリフを言うコンビでした。働いていた会社の名前は空文社。そりゃ空文売ってんだから潰れるよなあという。今回「異様な現象」だけがそこにあって、それが「実際にあった」のか「幻覚だった」のかは、わからない。というアレゴリー的な一面を強調したくて、そのためにはモロタさんとスガイさんのセットは不可欠でした。というか某なんとかファイルとか、よく出来てんだな、と思うなど。

・刑事サラギさんはヘビです。漢字で書くと蛇穴。楽園のリンゴ売り。ヘビと言えばね。リンゴですね。ロジーに毒を与え、帰る手段を与える。今回のかまし屋。人間のいない砂漠の真ん中で、井戸がないなら嘘でも良いから作るしかない。ミムラさんとの関係も考えたけど、なんか辞めちゃいました。

・一応、巡査が王様、ホームレスのおじさんが点灯夫。店員は知らない。なんだろう。ポイント切り替えの人かな。

・空がバラ色に見える(物理)ということで、低緯度オーロラ、太陽風、それから、ヘリオガバルスの薔薇、へとイメージをつなげたかったけどかなり乱暴だった自覚あります。お話作るのって難しいですね。David Bowieが産まれた年とロズウェル事件の起こった年が同じ、共に1947年なので、割とそこはスタートラインかも知れません。彼は本当に地球に墜ちてきた宇宙人だったのかも。

・なんか、わかんなくなってきたのでこのへんで。まだある気がするけど。今回あんまり関わらせられなかったけど、大学生依頼にアルトーの本を読んで、かっこいいな、と思いました。ゴッホの評伝(?)とか、とてもよかった。

・かっこわるくてすみません。自分用備忘録だと思って許してください。君が好きだよ、エイリアン。



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