彷徨といえば6マナ6/4本体火力付き@ほとけ
第七官界彷徨という小説があります
内容としては年頃の女の子が親元を離れ、詩人を目指すというお話です、ざっくり
その中に肥しを研究している男性が出てくるのですが、その部分を読んでいるといつも思い出す臭いがあります
たぶん肥しじゃないんですけれども
ほとけはしてぃーぼーいなので、肥しのにおいなんか嗅いだことないですから
して、なんなんだろうな、と思っていたのですが、この前春の河原を散歩していてようやく謎が解けました
たぶん、あれは菜の花の香りです
あの黄色い華やかな見た目からは少しイメージの離れた、ずいぶんと……なんていうんだ? 少なくとも甘くない臭いです
嗅覚と味覚は特に言語化しにくい感覚だと聞いたことがあります
味覚についてはまだ、甘いやら辛いやら専用の言葉がありますが、嗅覚についてはほとんど表す言葉がありません
くさい、くらいでしょうか
あとはやはり酸っぱいとか甘いとかそんな味覚を表現する言葉を借りてくるしかないのです
でも、だからこそ、匂いは個人的な記憶と結びつきやすいのかもしれませんね
四季の訪れはいつも、匂いからやってきます
春は菜の花のにおいと土のにおい
夏は蓮の葉畑にはった水から漂ってくる泥のにおい
秋は切った藁のにおい
冬は遠くで燃えている木の葉のにおい
とりわけ好きなのは秋の金木犀の匂いです
小学生の時、毎年学校の運動会の次の週に町内運動会がありました
学校の運動会ほど真剣ではなく、なんとなく、学校の砂場で遊んだり、ふらふらしたり、普段行ったら怒られるようなところに忍び込んだり、それなりに楽しい行事でした
ちょうどその時期に金木犀がよく香ってたのをやけに覚えています
きっと学校の周りに植えられていたのでしょう
なんだかんだで、金木犀の季節って気楽で楽しい時期だったりもするじゃないですか
夏と冬の忙しい時期の間で、春ほど始まったばかりでもなくて
だもんで、金木犀の匂いを嗅ぐとちょっと懐死しそうになったりしますね
匂いについての思い出はこんなものですかね
他にもいろいろ「あの日食べたすごく高いお肉のにおい」のおなかが減る話とか「宿敵と久しぶりに会って、でも前と変わらないにおい」がした甘酸っぱい話とか「潮のにおい」を嗅ぐと誰かに呼ばれている気がするダゴンダゴンな話と考えていたんですけど、まあ、トップバッターですからね。あんまし後続のネタつぶしをしてもあれですし
ということで、このあたりで、おやすみなさい
あ、第七官界彷徨の作者尾崎翠は最近ようやく仮ビラが出回り始めて肋骨蜜柑同好会の次回公演『愛の技巧、または彷徨するヒト胎盤性ラクトーゲンのみる夢』(長い、略称なんになるのかしら?)で使用する劇場風姿花伝からそんなに遠くないあたりに住んでいたらしいです(肋骨近況報告ノルマ達成)