今年の清田洞爺文学大賞決定

 2019年清田洞爺文学大賞の発表が田瓶市の毛総新聞社講堂ホールにて行われた。一次選考を勝ち抜いた10作品の中から大賞に輝いたのは村瀬太郎の「鬼の影」だ。
 今年は純文学賞に加え、事実報道に限定したノンフィクション賞とジャンルを問わないエンターテイメント賞を併設。大賞はいずれのジャンルからでも受賞しうるという新たな取り組みだったが、大賞を射止めたのはやはり純文学賞の最有力候補だった。

対象作品一覧

【清田洞爺文学大賞】
  大賞:村瀬 太郎 「鬼の影」
【純文学賞】
  佳作:堀尾 彰「エスケープ・フロム・ニューヨーク」
  選外:常田 桜子「夏の水平線」
  選外:長崎 修「荒野の儀式」
【ノンフィクション賞】
  佳作:相田 静香「日本人と祭り」
  選外:神奈川 大輔「ゴミを拾って三千里」
  選外:井川 エイジ「軌跡 ~田瓶人工衛星プロジェクト」
【エンターテインメント賞】
  佳作:下北沢 歩夢「星の王子様リターンズ」
  選外:ゆいつ むにこ「わたしとダーリンの一年戦争」
  選外:投稿作品「ダブルダブルチョコレートパイ」

選評委員のコメント

【古淵 健(小説家)】
 様々なジャンルを評価する評価委員には広く公平な視野が必要だということに気づかされる。それほどバラエティに富んだ候補作だった。グローバル化社会において、個人性や地域性に根差した作品は翻って貴重だ。井川氏の作品は田瓶発ベンチャーに焦点を当てたもので、惜しくも受賞に至らなかったものの個人的には多くの人の目に触れてほしい作品の一つだ。
【佐藤 恵美子(若宮国際大学)】
 これほどの数のエントリーがあることは清田洞爺の暗鬱な印象が払拭されつつある証だと理解している。純文学賞佳作の堀尾氏はスポーツライター出身という異色のバックグラウンドながら海外取材経験を生かした作品は目を引いた。若干25歳にして入賞を果たした長崎氏は粗削りながら清田洞爺を思わせる激情が印象的だった。数年後には大賞を狙う位置につけてくるだろう。 今後の活躍に期待したい。
【南方 三郎(小説家)】
 候補作は揃いも揃ってレベルが低い。唯一綺麗に纏めてきた村瀬君の作品が大賞を受賞したのも致し方なしとしか言いようがない。桜子君はもう3回連続の最終候補入りなのだから、そろそろ気合を入れて大賞受賞に足る作品を書いてほしい。エンタメ賞の新設もよいが、大衆に迎合し薄められた殴り書きのような文書では清田賞の権威に相応しくない。応募者と評価委には是非努力と自己研鑽を求めたい。
【吾妻セイヤ(Youtuber)】
 純文学の権威としての性格に加え、エンタメまで裾野を広げた清田賞はもはや熟練の文士だけのモノではなくなった。下北沢氏、ゆいつ氏らの作品は昨今の若者に受け入れやすいお手軽さの裏で練り込まれたプロットが見事に両立されている。他方で大賞を受賞した村瀬氏は流石としか言いようのない文圧。こういった作家たちが競い合い、高めあう清田賞の明るい未来が見えた気がした。